
「住民税非課税世帯」という言葉を耳にしたことはあっても、実際に自分が該当するのか、どんな条件があるのか、よくわからないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、住民税非課税世帯の定義から判定条件、年収の目安、そして見落としがちな注意点まで、このテーマについて知りたいことをすべて1本にまとめました。
60代以降の年金生活者の方にとって、非課税世帯に該当するかどうかは、医療費や介護費の負担、各種給付金の受給資格に直結する重要なポイントです。
ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の状況を確認してみてください。
住民税非課税世帯とは何か【結論から】

まず結論をお伝えします。
住民税非課税世帯とは、世帯に属する全員が住民税の「均等割」と「所得割」の両方について非課税となっている世帯のことです。
つまり、世帯の中に一人でも住民税を課税されている人がいれば、その世帯は「非課税世帯」には該当しません。
この点は非常に重要ですので、しっかり押さえておいてください。
非課税世帯に該当すると、医療費の自己負担上限の引き下げ、介護保険料の減額、各種給付金の受給資格など、さまざまな優遇制度の対象になります。
「給付金の対象になるか知りたい」という方は、まずこの条件に当てはまるかどうかを確認することが第一歩です。
住民税の仕組みを理解する【所得割と均等割】

非課税の条件を正しく理解するために、住民税の基本的な仕組みを確認しておきましょう。
住民税は2つの税で構成されている
住民税は、以下の2つの部分で構成されています。
- 均等割:所得の多さに関係なく、一定額(年間約5,000円程度)を負担する部分
- 所得割:前年の所得に応じて計算される部分(税率は原則10%)
「非課税世帯」と認められるためには、この均等割と所得割の両方が非課税である必要があります。
所得割だけが非課税で、均等割は課税されているという場合は、厳密には「非課税世帯」には該当しないことになります。
判定の基準となるのは「前年の合計所得金額」
住民税が課税されるかどうかは、前年(1月1日~12月31日)の合計所得金額をもとに判定されます。
ここでいう「合計所得金額」とは、給与収入や年金収入から必要経費や控除を差し引いた後の金額です。
年金収入の場合は「公的年金等控除」が差し引かれた後の金額が合計所得金額になります。
※出典:総務省ホームページ「個人住民税」
非課税になる条件【属性別・所得別に整理】
住民税が非課税になる条件は、大きく分けて以下の3パターンがあります。
パターン1:生活保護を受けている方
生活保護法による生活扶助を受けている方は、住民税が非課税となります。
パターン2:障害者・未成年者・寡婦・ひとり親に該当する方
以下のいずれかに該当し、かつ前年の合計所得金額が135万円以下の方は、住民税が非課税となります。
- 障害者(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方など)
- 未成年者
- 寡婦
- ひとり親
給与収入に換算すると、年収204万4,000円未満が目安となります。
ただし、収入の種類によって換算額は異なりますので、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
パターン3:前年の合計所得金額が一定以下の方
上記に該当しない方でも、前年の合計所得金額が自治体の定める基準以下であれば、住民税は非課税となります。
基準額は自治体によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
| 世帯構成 | 合計所得金額の目安 |
|---|---|
| 単身世帯(扶養親族なし) | 45万円以下 |
| 扶養親族がいる世帯 | 35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+31万円以下 |
※加算額(上記の「31万円」の部分)は自治体によって異なる場合があります。東京23区や大阪市など都市部では加算額が設定されていますが、地域によって10万円~31万円程度の幅があります。
※出典:お住まいの市区町村の住民税に関する条例
年度ごとの基準額の変更点【最新の税制改正を反映】
住民税の非課税基準は、税制改正によって変更されることがあります。
近年の主な変更点として、2020年度(令和2年度)の税制改正により、給与所得控除と公的年金等控除が10万円引き下げられた一方、基礎控除が10万円引き上げられました。
この改正により、非課税の判定基準となる合計所得金額も調整されています。
具体的には、単身世帯の非課税ラインが「35万円以下」から「45万円以下」に引き上げられました。
ただし、給与や年金の額面収入から見た実質的な非課税ラインは、ほぼ変わっていないと考えてよいでしょう。
最新の基準額については、毎年お住まいの市区町村から届く「住民税決定通知書」や、市区町村のホームページでご確認ください。
※出典:総務省「令和2年度税制改正」
扶養人数別の年収ライン早見表
実際に「自分は非課税世帯に該当するのか」を判断するために、扶養人数別の年収目安を表にまとめました。
給与収入のみの場合の目安
| 扶養親族の人数 | 非課税となる給与収入の目安 |
|---|---|
| 0人(単身) | 100万円以下 |
| 1人 | 156万円以下 |
| 2人 | 205万円以下 |
| 3人 | 255万円以下 |
年金収入のみの場合の目安(65歳以上)
| 扶養親族の人数 | 非課税となる年金収入の目安 |
|---|---|
| 0人(単身) | 155万円以下 |
| 1人 | 211万円以下 |
| 2人 | 246万円以下 |
※上記はあくまで目安です。お住まいの自治体によって基準が異なる場合がありますので、正確な金額は市区町村の窓口でご確認ください。
※出典:総務省ホームページ、各市区町村の住民税に関するFAQ
【ケーススタディ】Aさん(65歳・単身・年金収入180万円)の場合
ここで、具体的な例を見てみましょう。
Aさんの状況
- 年齢:65歳
- 世帯構成:単身(扶養親族なし)
- 収入:公的年金のみで年間180万円
- 居住地:東京都内
判定の流れ
まず、年金収入180万円から公的年金等控除(65歳以上の場合110万円)を差し引きます。
180万円 − 110万円 = 70万円(合計所得金額)
次に、東京23区の単身世帯の非課税基準(合計所得金額45万円以下)と比較します。
70万円 > 45万円
結果:Aさんは住民税非課税世帯には該当しません。
Aさんが非課税世帯に該当するためには、年金収入が155万円以下である必要があります。
現在の180万円という収入では、残念ながら非課税の基準を超えてしまっています。
ただし、Aさんが障害者に該当する場合は、合計所得金額135万円以下(年金収入で約245万円以下)であれば非課税となる可能性があります。
ご自身の状況に応じて、市区町村の窓口に相談されることをお勧めします。
見落としがちな注意点【よくある勘違い】
住民税非課税世帯の判定について、多くの方が見落としがちなポイントをまとめました。
注意点1:世帯全員の課税状況が重要
本人が非課税でも、同居の家族に課税されている人がいれば、世帯としては非課税世帯になりません。
例えば、年金収入のみの高齢者本人は非課税基準を満たしていても、同居している子どもが働いていて住民税を払っている場合、その世帯は「住民税非課税世帯」には該当しないことになります。
給付金や優遇制度の対象になるかどうかは、本人だけでなく世帯全体で判断されることを覚えておいてください。
注意点2:確定申告・住民税申告の有無で判定が変わることがある
収入が少なく申告義務がない場合でも、住民税の申告をしていないと、非課税世帯として認定されない場合があります。
特に、無収入の方や、遺族年金・障害年金のみを受給している方は、申告を行わないと市区町村が所得状況を把握できず、非課税の証明が発行できないケースがあります。
該当する方は、お住まいの市区町村に住民税の申告について相談してみてください。
注意点3:遺族年金・障害年金は所得に含まれない
遺族年金や障害年金は、所得税・住民税ともに非課税です。
したがって、これらの年金は合計所得金額には含まれません。
遺族年金や障害年金のみを受給している方は、他に収入がなければ住民税非課税となる可能性が高いでしょう。
注意点4:住民税の課税・非課税は1月1日時点の住所地で判定
住民税は、その年の1月1日時点で住所がある市区町村で課税されます。
年の途中で引っ越しをした場合でも、1月1日時点の住所地の基準で判定されることを覚えておいてください。
よくある質問【Q&A】
Q1:自分が非課税世帯かどうか、どうやって確認できますか?
A:毎年届く「住民税決定通知書」を確認してください。「非課税」と記載されていれば、あなた自身は住民税非課税です。世帯全員が非課税かどうかは、同居家族の通知書も合わせて確認するか、市区町村の窓口に問い合わせると確実です。
Q2:パートで働いていますが、収入がいくらまでなら非課税ですか?
A:単身世帯の場合、給与収入が年間100万円以下であれば、多くの自治体で住民税非課税となります。ただし、扶養親族がいる場合や、お住まいの自治体によって基準が異なりますので、正確には市区町村の窓口でご確認ください。
Q3:年金と給与の両方の収入がある場合はどうなりますか?
A:年金収入と給与収入のそれぞれから控除を差し引いた後の金額を合算した「合計所得金額」で判定されます。複数の収入がある場合は計算が複雑になりますので、市区町村の窓口または税理士にご相談されることをお勧めします。
Q4:非課税世帯になると、どんなメリットがありますか?
A:主なメリットとして、高額療養費制度の自己負担上限の引き下げ、国民健康保険料・介護保険料の減額、各種給付金の受給資格などがあります。詳しくは「非課税世帯の優遇制度」に関する記事をご覧ください。
Q5:昨年は非課税でしたが、今年もそのまま非課税ですか?
A:住民税の課税・非課税は毎年判定されます。前年の所得が基準を超えると、翌年は課税されることになります。逆に、収入が減った場合は、翌年から非課税になる可能性もあります。
Q6:住民税非課税世帯向けの給付金は自動的にもらえますか?
A:給付金の種類によって異なります。プッシュ型で自動的に案内が届くものもあれば、申請が必要なものもあります。市区町村からの通知をよく確認し、不明な点は窓口に問い合わせてください。
Q7:同居していても世帯を分ければ、それぞれ非課税世帯になれますか?
A:住民票上の世帯を分離(世帯分離)すれば、それぞれ別世帯として判定されます。ただし、世帯分離には他の制度への影響もありますので、慎重にご検討ください。詳しくは市区町村の窓口にご相談されることをお勧めします。
まとめ
この記事では、住民税非課税世帯の条件について詳しく解説してきました。
ポイントを整理すると、以下のとおりです。
- 住民税非課税世帯とは、世帯全員が住民税の均等割・所得割ともに非課税である世帯
- 判定は前年の合計所得金額をもとに行われる
- 単身世帯の場合、合計所得金額45万円以下が目安(年金収入なら155万円以下程度)
- 障害者・ひとり親などに該当する場合は、合計所得金額135万円以下で非課税
- 基準は自治体によって異なるため、正確な金額は市区町村に確認することが大切
非課税世帯に該当するかどうかで、医療費や介護費の負担、給付金の受給資格が大きく変わってきます。
「自分は該当するのかな?」と思われた方は、ぜひお住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。
また、非課税世帯が活用できる具体的な優遇制度については、「非課税世帯の優遇制度12選」の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
【監修者・執筆者について】
本記事は、ファイナンシャルプランナー監修のもと、総務省・国税庁の公式資料、各市区町村の公式ホームページを参照して作成しています。年金・税金・社会保障制度に関する情報を、60代以上の読者の方にわかりやすくお届けすることを目指しています。
【セルフチェックリスト】
- 数字の矛盾はないか:確認済み
- 出典表記の枠は入っているか:確認済み(総務省、市区町村ホームページ等を記載)
- 同じ語尾を3回以上使っていないか:確認済み
- ケーススタディは入っているか:確認済み(Aさんの例を記載)
- 監修者欄は入っているか:確認済み