
大切なパートナーを失ったとき、悲しみの中で様々な手続きに追われることになりますよね。
「これからの生活、どうなるんだろう」「受け取れるお金があるって聞いたけど、何をどこに請求すればいいの?」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、夫が亡くなったときに受け取れるお金は、公的年金・健康保険・勤務先・保険会社などから少なくとも10種類以上あるとされています。
しかし、これらの制度は自動的にもらえるわけではなく、ご自身で請求しなければ受け取れないものがほとんどなんですね。
この記事では、60代の女性が特に知っておきたい制度を10選にまとめて、わかりやすくお伝えしていきます。
請求期限や窓口の情報も一緒にご紹介しますので、きっと今後の手続きに役立てていただけるはずですよ。
まず知っておきたい結論|請求しないともらえないお金がたくさんある

夫が亡くなったとき、60代の女性が受け取れる可能性のあるお金は、大きく分けて年金関係・健康保険関係・勤務先からの給付・民間の保険の4つのカテゴリーに分類できます。
特に重要なのは、これらはすべて「請求主義」であるということです。
つまり、ご自身で手続きをしなければ、1円も受け取れないということなんですね。
また、多くの制度には請求期限が設けられています。
葬祭費や埋葬料は2年以内、遺族年金は5年以内など、期限を過ぎると受け取る権利を失ってしまうこともあるんです。
ですから、悲しみの中でも、できるだけ早い段階で「自分が受け取れる可能性のあるお金」を把握しておくことが大切ですよね。
夫が亡くなったらもらえるお金10選|60代女性向け完全ガイド

それでは、60代の女性が受け取れる可能性の高いお金を、重要度順にご紹介していきますね。
ご自身の状況に当てはまるものがないか、一緒に確認していきましょう。
1. 遺族厚生年金|会社員・公務員だった夫の場合に受け取れる
夫が会社員や公務員として働いていた場合、最も大きな金額になる可能性があるのが遺族厚生年金です。
対象となる方
- 夫が厚生年金に加入中、または厚生年金を受給中に亡くなった場合
- 夫によって生計を維持されていた妻
- 18歳未満の子どもがいる場合は、子どもも対象になることがある
60代女性にとってのポイント
妻が受け取る遺族厚生年金は、原則として終身(生涯)支給されるケースが多いんです。
これは、老後の生活を支える大きな柱になりますよね。
金額の目安としては、夫の報酬と加入期間から計算される老齢厚生年金額の4分の3程度が基礎となるとされています。
ただし、具体的な金額は個別に計算が必要なので、年金事務所で確認されることをおすすめします。
請求先と必要なもの
- 請求先:最寄りの年金事務所
- 必要書類:年金手帳、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、住民票など
- 請求期限:死亡日の翌日から5年以内
2. 遺族基礎年金|18歳未満のお子さんがいる場合
遺族基礎年金は、18歳到達年度末まで(一定の障害がある場合は20歳未満)のお子さんがいる場合に受け取れる年金です。
対象となる方
- 夫が国民年金または厚生年金の被保険者として亡くなった場合
- 18歳未満のお子さんがいる配偶者、またはお子さん本人
金額の目安(2024年度)
年額約81.6万円に加えて、お子さん1人につき約22.47万円が加算されます。
2人目までは同額の加算があり、3人目以降は約7.5万円の加算となっています。
60代女性の場合の注意点
正直なところ、60代で18歳未満のお子さんがいらっしゃるケースは少ないかもしれませんね。
ただ、該当する方にとっては非常に重要な制度ですので、念のためご紹介させていただきました。
3. 寡婦年金|60歳から65歳までの「つなぎ」として重要
60代女性にとって特に重要なのが、この寡婦年金です。
老齢基礎年金を受け取り始める65歳までの「つなぎ」として、大きな役割を果たしてくれます。
対象となる方
- 夫が国民年金第1号被保険者として、保険料納付・免除期間が10年以上ある
- 夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を一度も受け取らずに亡くなった
- 妻は夫によって生計を維持されていた
- 婚姻期間が10年以上ある
受給期間と金額
寡婦年金は、妻の60歳から65歳になるまでの5年間受け取ることができます。
金額は、夫が将来もらえたはずの老齢基礎年金額の4分の3となっています。
請求期限
夫の死亡日の翌日から5年以内に請求する必要があります。
忘れずに手続きしたいですね。
4. 死亡一時金|年金を受け取らずに亡くなった場合の救済制度
夫が国民年金の保険料を長年納めていたのに、年金を受け取らずに亡くなってしまった場合、その「もったいなさ」を補う制度が死亡一時金です。
対象となる方
- 夫が国民年金第1号被保険者として36か月以上保険料を納付していた
- 老齢基礎年金・障害基礎年金を一度も受給せずに亡くなった
- 生計を同じくしていた遺族(配偶者・子・父母など)
金額の目安
納付月数に応じて12万円から32万円程度となっています。
付加年金に加入していた場合は、さらに8,500円が加算されます。
寡婦年金との選択について
ここで重要な注意点があります。
寡婦年金と死亡一時金は、どちらか一方しか受け取れないケースがあるんです。
一般的には、5年間受け取れる寡婦年金の方が総額では大きくなることが多いですが、ご自身の年齢や状況によって異なります。
年金事務所でどちらが有利か相談されることをおすすめしますね。
5. 未支給年金|見落としがちだけど必ず確認したい
夫が年金を受け取っていた場合、亡くなるまでの年金でまだ支払われていない分があることをご存知でしょうか。
未支給年金とは
年金は後払いで、偶数月に2か月分がまとめて振り込まれます。
例えば、4月に亡くなった場合、2月分と3月分、そして4月分の一部がまだ支払われていない可能性があるんですね。
対象となる方
- 故人と生計を同じくしていた3親等以内の遺族(妻・子・父母など)
請求のポイント
「振り込みが止まったからもう終わり」と思ってしまいがちですが、必ず年金事務所で未支給分がないか確認することが大切です。
請求期限は権利が発生してから5年以内となっています。
6. 葬祭費・埋葬料|葬儀費用の補助として受け取れる
夫がどの医療保険に加入していたかによって名称や窓口は変わりますが、葬儀費用を補助してくれる制度があります。
葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合)
夫が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬儀を行った方に葬祭費が支給されます。
- 金額:自治体により異なるが、概ね3万円から7万円程度(多くは5万円前後)
- 請求先:夫が住んでいた市区町村役場の国保担当課
- 請求期限:葬儀を行った日から2年以内
埋葬料(協会けんぽ・健康保険組合などの場合)
夫が会社員として健康保険に加入していた場合は、埋葬料が支給されます。
- 金額:原則一律5万円(協会けんぽの場合)
- 請求先:協会けんぽ支部、または勤務先を通じて健保組合へ
- 請求期限:2年以内
金額は大きくありませんが、請求しなければもらえないので、忘れずに手続きしたいですね。
7. 高額療養費の払い戻し|入院費用が高額だった場合
夫が入院や手術などで医療費が高額になっていた場合、自己負担の上限を超えた分が払い戻される制度があります。
高額療養費制度とは
1か月の医療費の自己負担額には上限があり、それを超えた分は後から払い戻してもらえる制度です。
本人が亡くなった後でも、家族が代わりに請求できるんですね。
請求のポイント
- 対象:夫が加入していた公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度・健康保険など)
- 請求期限:診療月の翌月から2年以内
- 窓口:加入していた健康保険の窓口
既に「限度額適用認定証」を使っていた場合でも、他の月や別の入院で該当するものがないか確認してみてくださいね。
8. 児童扶養手当|18歳未満のお子さんを育てている場合
18歳到達年度末までのお子さんを育てているひとり親世帯などに支給される手当です。
対象となる方
- 死別や離婚により、18歳未満のお子さんを育てている方
- 所得制限あり
金額の目安
お子さん1人の場合、満額で年額約50万円前後(月額4万円台相当)とされています。
ただし、年度により改定されるため、最新の金額は自治体に確認されることをおすすめします。
60代女性の場合
60代で未成年のお子さんを育てているケースは限定的かもしれませんが、該当する場合は遺族年金と児童扶養手当の両方を受け取れる可能性があります。
9. 死亡保険金|生命保険・共済などから受け取れる
夫が加入していた民間の生命保険や共済、団体保険などから支払われる死亡保険金も、重要な収入源になりますよね。
確認すべきポイント
意外と見落としがちなのが、会社の団体保険やクレジットカード付帯の簡易保険です。
本人が家族に伝えていないケースもあるので、以下の書類を確認してみてください。
- 保険証券
- 通帳の引き落とし記録(保険料の支払いがないか)
- 会社の福利厚生説明書
- クレジットカードの契約内容
税金について
受取人が妻で、保険料負担者・被保険者が夫の場合、原則として相続税の対象となります。
ただし、非課税枠があるため、詳しくは税理士さんなどの専門家に相談されることをおすすめしますね。
10. 弔慰金・死亡退職金|勤務先からの給付
夫の勤務先から支給される弔慰金や死亡退職金も、忘れずに確認したい項目です。
弔慰金(ちょういきん)
会社の就業規則や福利厚生規程に基づいて支給される見舞金です。
金額や条件は会社ごとに大きく異なりますので、人事部門に確認してみてくださいね。
死亡退職金
夫が在職中に亡くなった場合、退職金を「死亡退職金」として遺族が受け取れることがあります。
また、企業年金や確定拠出年金(DC)の残高がある場合も、遺族一時金として受け取れる可能性がありますよ。
既に退職していた場合も確認を
既に退職済みの場合でも、OB向けの弔慰金制度がある企業もあります。
念のため、元の勤務先に問い合わせてみる価値はあるかもしれませんね。
60代女性が特に注意したい3つのポイント
ここまで10種類のお金についてご紹介してきましたが、60代女性ならではの注意点もいくつかあります。
ポイント1|年金の併給調整を理解しておく
60代になると、ご自身の老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取り始める時期でもありますよね。
遺族年金と老齢年金の組み合わせには「併給調整」というルールがあり、どの組み合わせが最も有利かは個人によって異なります。
年金事務所で「自分の場合はどうなるか」を具体的に相談されることをおすすめします。
ポイント2|請求期限を意識して早めに動く
各制度には請求期限があります。
主な期限をまとめておきますね。
- 葬祭費・埋葬料:葬儀日から2年以内
- 高額療養費:診療月の翌月から2年以内
- 遺族年金・未支給年金・寡婦年金:5年以内
悲しみの中で手続きを進めるのは大変なことですが、期限を過ぎると受け取る権利を失ってしまうこともあります。
できれば四十九日を過ぎたあたりから、少しずつ手続きを始めることをおすすめしますね。
ポイント3|必要書類を事前に揃えておく
各種手続きには様々な書類が必要になります。
事前に揃えておくとスムーズに進められますよ。
- 夫の年金手帳・基礎年金番号がわかるもの
- 戸籍謄本
- 住民票
- 死亡診断書のコピー
- 夫の健康保険証
- 夫の勤務先の連絡先
- 生命保険証券
- 預金通帳(振込口座の確認用)
手続きの優先順位|まずはここから始めましょう
「たくさんあって、何から手をつければいいかわからない」という方のために、優先順位をまとめてみました。
最優先|年金事務所に相談する
まずは最寄りの年金事務所に行きましょう。
「夫が亡くなったので、受け取れる年金について相談したい」と伝えれば、以下のことをまとめて確認できます。
- 遺族厚生年金
- 遺族基礎年金
- 寡婦年金
- 死亡一時金
- 未支給年金
次に|市区町村役場に行く
住所地の市区町村役場では、以下の手続きができます。
- 葬祭費の請求(国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合)
- 高額療養費の確認
- 児童扶養手当の相談(該当する場合)
並行して|勤務先・保険会社に連絡する
夫の勤務先や加入していた保険会社には、早めに連絡を取りましょう。
- 弔慰金・死亡退職金の確認(勤務先)
- 埋葬料の請求(健康保険組合の場合)
- 死亡保険金の請求(保険会社・共済)
まとめ|請求漏れを防いで、これからの生活を守りましょう
夫が亡くなったときに60代女性が受け取れるお金について、10種類をご紹介してきました。
最後に、もう一度まとめておきますね。
年金関係(年金事務所へ)
- 遺族厚生年金:会社員・公務員だった夫の場合、終身支給の可能性
- 遺族基礎年金:18歳未満の子がいる場合に支給
- 寡婦年金:60歳から65歳までの「つなぎ」として重要
- 死亡一時金:年金未受給で36か月以上納付していた場合
- 未支給年金:亡くなるまでの未払い分を遺族が請求
健康保険関係(役場・健保組合へ)
- 葬祭費:国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合、3〜7万円程度
- 埋葬料:健康保険の場合、5万円
- 高額療養費:入院費用が高額だった場合の払い戻し
その他(勤務先・保険会社へ)
- 児童扶養手当:18歳未満の子を育てている場合
- 死亡保険金:生命保険・共済・団体保険など
- 弔慰金・死亡退職金:勤務先の制度による
これらはすべて「請求しないともらえない」制度です。
請求期限もありますので、できるだけ早めに確認を始めることが大切ですね。
一人で抱え込まないでくださいね
大切なパートナーを失った悲しみの中で、こうした手続きを進めるのは本当に大変なことだと思います。
「こんなにたくさんあるなんて、どうすればいいの」と途方に暮れてしまうこともあるかもしれませんね。
でも、一人で全部やろうとしなくても大丈夫です。
年金事務所や市区町村役場の窓口では、「夫が亡くなったので相談したい」と伝えれば、丁寧に教えてもらえますよ。
また、お子さんやご兄弟、信頼できる友人に付き添ってもらうのも良いかもしれません。
一緒に話を聞いてもらえると、後から「あれ、何て言ってたっけ」と困ることも減りますよね。
この記事が、これからの手続きを進める上で少しでもお役に立てれば嬉しいです。
どうか無理をせず、ご自身のペースで進めていってくださいね。